ホリスティック管理栄養士 / 岡 清華さん(part3)

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1993年⽣まれ、兵庫県出⾝。ファッション誌モデルとして活動しながら、⼤学在学中に管理栄養⼠資格を取得。その後、カウアイ島にてアーユルヴェーダを学ぶ中で、全⽶ヨガアライアンスを取得。帰国後Vegan, Organic, Ayurvedaをコンセプトにした飲⾷店やケータリングでの料理提供や、会員制スタジオで、ヨガや栄養指導を⾏ない、「腸」に特化したフード開発、レシピ監修、イベント企画、運営を担当。独⽴後、ヨガを含むアーユルヴェーダ” の観点から「⼀⼈⼀⼈が最も輝くベストな⼼⾝を知り、持続可能な⼈⽣をサポートすること」をコンセプトにアーユルヴェーダを基にするヨガや、⾷を通じたエシカル事業など、多⽅⾯から事業を展開しながらコミュニティを創設し、オンライン上で瞑想・ヨガのスタジオ、カウンセリング、ECショップアカデミースクールなど様々な活動を行っている。

摂取だけではなく、消化までが食

食に置き換えると、「あまりアップダウンしないこと」や「動き続けないこと」など、アーユルヴェーダの修行に行かれ帰ってきてからは、ご自身でどんな食生活をしていましたか?

一番変わったのは、「食に対する観点・食を選択する観点」です。管理栄養士的な知識で言うと、皆さんご存知の通りカロリーや栄養素というような数値で選んでいたのですが、裏を見て、「カロリーや栄養素は?」といった感じだったんです。アーユルヴェーダを学んでからは、「消化の力」というのが何よりのキーワードになりました。

例えば、西洋医学は何故「一時的」というか「一側面的」なのかというと、食べる物というのは、この「目の前にある」食べ物の栄養素しか見えないんですよね。「このカロリー、この栄養素」などという。だけど、ホリスティックな考え方でいうと、「これを食べた後、どれだけ吸収できて、どれだけ身になって、どれだけ排泄されたのか」というところまで考えることが「食」だということを考え始めたんです。ということは、「これはこのくらい栄養素があります。加熱したら酵素が壊れます。ビタミンが崩れます」と言っても、「そのたくさんの栄養素を摂取したとして、一気に吸収できる体の機能を持ってるのか?」と言われると、管理栄養士の知恵だけではそれは分からない。その点、アーユルヴェーダの知恵では、「消化の力を高める」ということからはじめます。

逆に言うと、「消化できる状態に変えたものを食べないと、全く、その高栄養素なものも意味がない。逆に毒になる可能性もある」というようなことなので、例え、酵素が壊れようが、ビタミンが少し減ろうが、それを消化できる形にすることが何よりの健康のスタイルなんだということを、アーユルヴェーダの知恵は教えてくれます。自分で実践する上で、「栄養あるもの…栄養あるもの…」と言って、生のものや栄養があるプロテインバーなどを食べていたんですけど、それを「私が消化できているか?」と言ったらそうじゃなくて…。ちゃんと消化できる状態のものを、消化できる食べ合わせで、消化できる食べ方で食べることで、自分の体が整っていって、さらには、心の状態も、相互的に整っていき、「こういうことなんだ」という体験をしたんです。キーワードは、「消化力」にフォーカスをするというところです。栄養素ではなく、消化にフォーカスをするから、目の前に見えてるものではなくて、見えてない体の中にフォーカスを当てられるんです。

意思を持ってライフスタイルを選択してほしい

先程も聞きましたが、「ビーガン=野菜とか植物性の食材を中心にしていく食生活」と、お肉等も取り入れている現代の方々の食生活では、どういう違いがあるものなのでしょうか。ご自身の考え方やアーユルヴェーダの観点もあると思いますけれども、何か思うことがありますか?

やっぱり、最近、ヴィーガンが流行ってきた中ですごく思うことは、それぞれ何が間違いとか正しいとかはないと思うんですけれど、それぞれ「何を重要視しているか?」ということだと思います。私のアーユルヴェーダの生活の中では、完全にビーガンの生活でしたが…完全にと言われるとちょっと語弊があるかもしれないのですが…。今日お渡ししようと思っている「ギー」というオイルは、無塩バターを不純物を取り除いた、純粋な100%のオイルなのですが、この「ギー」だけを摂取する、または、ミルクにレモンをちょっと絞って、分離させて、フレッシュな状態のチーズを食べる…など、良質の乳製品だけをいただくという食事法です。

(アーユルヴェーダでは)牛はとても神聖なものとされていて、牧草の栄養素を牛を介してして私たちが摂取しているという考え方で、それだけを摂取する肉や卵や魚というものは、”死んだもの” という性質から、食べることを避けます。あとは、はちみつなども「私たちの栄養素になるもの」ということで、食べ合わせによっても変わりますが、厳選されたフレッシュな状態のはちみつと乳製品だけを食べるヴィーガンみたいなものを、帰ってきてから半年ぐらい真剣にやってみたんですね。毎日自炊し…という感じでやっていたのですが、仕事や付き合いができなくて…。それでは東京の現代の激しい流れについていけなくて。ちょこちょこお肉を食べたりしながら調和を取って過ごしていたんです。

今はほとんどヴィーガンの形でその時の状態に近く戻っているんですが、ヴィーガンの理由って、環境問題から来る方だったりとか、動物愛護から来る方だったりとかってのがいらっしゃると思いますが、私の中では、「ヴィーガン=ナチュラルではない世の中」をすごく感じていて。ビーガンって言うと、動物性が一切ないという単純なイメージで、「ヴィーガン=オーガニック」大前提ではないのかなという風潮を感じています。

私が大切にしているのは、自然から生まれてきた、自然のままのものであるということが「消化できるもの」という考え方です。私たち人間はすごく優秀な動物のように思われるかもしれませんが、人間も地球に生まれてきた自然界の中の一部です。なので、自然のシステムを持ってるわけなので、自然から生まれてきたものは自然に消化できるし、私たち人間が勝手に作り上げたものは、ロボットじゃないのでちゃんと消化できるシステムを持ってないわけなんですよ。例えば、アメリカには身体が肥大化している方が多くいらっしゃったイメージでしたが、、あれは脂肪じゃなくて「添加物が溜まった塊じゃないか?」というように言われていたりします。そういったことで言うと、太っているというよりは、消化できないものが体内に蓄積していると。だから、不自然なものを食べてるんじゃないかというような考え方をすると、今のビーガン業界は、いろんな不自然な加工食品が出てると思うんですね。肉の代替としてなど… 果たしてヴィーガンであれば、全てが正しいものなのかって言われると、ちょっと私は論議をしたいと正直思っています。

ここだけは結構強く言いたいんですけど、「ヴィーガンがヘルシー」「ヴィーガンが全てにおいて、地球にも、体にも優しいものなのか?」と言われたら、持続的ではないかもな、というふうに思っています。加工食品を食べ続けた私たちの体が消化ができないことによって、心の消化の弊害も生まれ、いろんな思考を乱し、どんどん違った方向に向かってしまうんじゃないかとも思うので、やはり、「ナチュラル」とか「自然」とか聞き飽きたキーワードでなんか面白くないのでキャッチーなキーワードを使いたくなりますが、「自然」「ナチュラル」というのは、私たちが自然から生まれたナチュラルな存在として認識することでもあり、食をホリスティックに考える…消化のプロセスまでを考えることでもあるって思っていて。そこが1番のキーワードだとして考えていくとすれば、ビーガンに関しては、やっぱり人間が心身共に持続的に豊かに生きていくために必要になってくる考えだと思います。ただ、現代の流行スタイルで言うと、もうちょっと包括的にと言うか、意思を持って、ビーガンを選択していかなきゃいけないんじゃないかな?というふうにも思ったりしますね。

自分の体質に合わせて食べ方を考える

なんでも野菜だけ食べてればいいっていう問題でもなく。

「生野菜なのか?温野菜なのか?」ということや、「オイルがしっかり含まれているのか?」「パサパサなのか?」ということでも全然違いますし、やはり「消化ができるもの」という観点からビーガンを取り入れていただきたいと思います。そして、生の野菜が合う人もいれば、温野菜が合う人もいて、葉野菜系が多い方がいい人もいれば、根野菜系の方が必要な人もいる、という体質のことも見て欲しい。それが凝り固まりすぎると、結局、西洋医学的な観点になってるような気がするんですよね。栄養素がこうだとか、低カロリーだとか。動物性じゃない、動物性であるとか。その中でも、動物性の中でも良いものと悪いものがあって、動物性じゃない中でも良いものと悪いものがある。そこまで考えて欲しいかな。

「何を選ぶか?」というところですね。「消化の力」ということで、「そうだな。そうだな。うんうん」と言いながら、「私の消化の力って何なんだろう?どういうことなのかな。何が合うのかな?」というのは、どうやったら分かるのでしょうか…?

それぞれの体質みたいなところから言うと、アーユルヴェーダでは、『空・風・火・水・地』という要素で考えていきますが、それぞれの要素の割合が違うんですね。例えば、「水」の割合が多い人だと、体がむくみやすかったりとか、冷えやすかったりとか、ちょっと組織が分厚く、皮膚も分厚いので、すごい真っ白な肌に見えるし、骨とかも浮かない。例えば、「風」や「空気」という要素が多い人だと、お腹が張りやすかったり、関節がポキポキ鳴りやすかったり、髪の毛がパサパサだったり、おなら、ガス、ゲップとか、そういった空間、空気っていうものが発生しやすくて、消化の力はかなり弱かったりするんですよね。思考でいうと、アイデアやクリエイティビティ等はすごくあるけど、ソワソワ、バタバタしやすくて、忘れ物が多かったり、集中できないタイプだったりもします。「火」の要素が強い人は、体が熱かったり、筋肉質だったり、情熱的であったりっていうタイプで分かれていたりするんですけど、それは食べ物とかライフスタイルによっても変わっていきます。体質によっても、消化の力っていうのは違っています。全ての人に言える「消化」と言うと、例えば、「消化酵素」ですよね。唾液、胃液、腸でどれだけ分解できるのかということに繋がってくるんです。まず、私が1番分かりやすく伝えたいのは、「どのように食べるか。You are what you eat = あなたは食べたものでできている」という言葉がありますけど、「How to eat = どのように食べるのか」ということだと思うんですね。同じ栄養がある食事が出てきたとしても、これを加熱して食べるのか、そのまま食べるのか、何と食べ合わせて食べるのか、そして、何回噛んで食べるのかということとか、「食べ方=消化力」を考えることに繋がっていくんです。

その「How to eat」の考え方を多くの方に理解していただけると良いと思います。まさに、食事する方法・食べ方について考えている人は少ないと思います。例えば、人間は唾液から消化システムが始まっているんですよね。なので、鵜呑みにしていると、糖質なんか特に、まず唾液で分解されて、胃液でそこから分解するというプロセスです。その工場みたいな過程がある中で、全然噛まずに、ジュースやスムージー等だったら全然噛まずに飲み込みますが、それは物質的な考え方であって、非物質的な考え方で言うと、その中の栄養素は唾液を通すことによってやっと分解されて、胃液で分解されてというプロセスになっているので、唾液としっかりと混ぜてから胃の中に入れてあげないと、消化できない。そのままどうやって消化したらいいの?という感じで体が溜まったり、流れ出ちゃったり、1万円のサプリ飲んで、1万円流してるみたいな感じの人とか、1万円のサプリ飲んで腐敗して、逆に病気のストレスになって何百万円払っている人がいたりとか。

唾液のプロセスの話をすると、「よく噛んで」というのは、食べ物を小さくすることだけじゃなくて、その栄養素をしっかりと吸収して、代謝させて、排泄するところまで考えていくと。こういった、消化の酵素を強くすること。内臓は37度ぐらいで、体温より少し高い温度で動いてると思うんですけど、その最適温度から内臓をバンバン冷やしてしまうようなことをしてしまうと内臓が最適温度よりも低くなって、動きが鈍くなったり、動かなくなったりとかしていきますよね。そういったことで、胃が動かなくなってしまって、消化のシステムが遅くなってしまって、胃の滞留時間が長ければ長いほど、そこで腐敗が進んで、我々の体に毒素として溜まっていくというようなプロセスです。体の見えないところについて考えていくっていうのは、唾液の消化酵素だったりとか、内臓の機能といったようなところを、どのように活性化していくのかというような考え方ですよね。

いわゆる、お医者さんに行って聞く話とやっぱり違いますよね。

最初はギャップがあって、みんなびっくりみたいな感じですね。

でも、岡さんみたいに、管理栄養士とか、西洋的な方もちゃんと学んで、東洋のこと、中庸医学も学んで、ハイブリットというか。すごく腑に落ちやすいというか。話を聞きやすいというか。

やっぱりスピリチュアルの観点のみから話すよりも、医療者の話の方が、国民の大半が耳を傾けるように、変な先入観ですけど、医学的な肩書きを持っていると、人が話を聞いてくれるっていう面では、管理栄養士の資格はとても役立っています。

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